2021年4月 Web発表会

皆様、コロナ禍の中いかがお過ごしでしょうか。

この度、兵庫県感染拡大の為、神戸支部4月の研究会を急遽中止することになり、お花屋さんにはたいへんご迷惑をおかけすることになってしまいました。
初めての試みとして、研究会のお花を使っての写真を(メール又は郵便にて)募集致しましたところ、専門教授者の先生方のご協力によりたくさんの会員様(120名)にご参加頂きすばらしい作品を送って頂きましたので、Web発表会とさせて頂きます。
今まで定例研究会に来られなかった方にもご参加頂けた事、たいへんうれしく思っております。
又、4月の研究会でご指導頂く予定でございました小原流研究院講師 横山 豊鈴先生のご好意ににより講評を頂ける事となりました。自粛中、皆様のお勉強になる事と先生には心より感謝申し上げます。
今だからこそできる事を今後も前向きに考えてまいりたいと思っております。
6月の研究会には皆様にお会いできることを心より願っております。
くれぐれもご自愛下さいませ。

神戸支部 支部長 芦田 豊陽        

神戸支部Web発表会に簡単ではございますが講評をさせて頂くこととなりました。皆様の作品を拝見することができまして、大変嬉しく存じます。
写真を拝見しながら、皆様のお花に対する真摯な姿勢を感じ、やはり写真ではなく皆様が実際にお生けになった作品を拝見したかったと、強く思いました。
今回は写真のみを拝見してのこととお含みおき頂けましたら幸いです。
厳しく不安定な状況下、新しい試みとしてのWeb発表会が、少しでも皆様の日々のお稽古の糧となりますよう願っております。

小原流研究院講師 横山 豊鈴        

1級A、1級B

1級A

1級B

花材の状態に応じて、桜を主体としていける、草ものである著莪、ゼンマイを主体としていける、どちらでも良かったと思います。いずれにしましても、器とのバランス、花材の配分が大切です。
「桜は花」と申しますが、爛漫と咲く花すべてを見せるのではなく、省略すべきところは省略し、効かせどころをきめてこそ、桜の花が馥郁と際立ったように思います。
瓶花においては「山鳥の尾のごとく」といわれます著莪ですが、四方八方に広がるように動かすのではなく、ある程度方向性を持たせてまとめましょう。ゼンマイは出生に応じて2本又は3本が向かい合うように、また先端の渦巻き状の姿がみえるように据えます。
瓶花においては根絞まりが大切です。口元いっぱい頬張ったようにしないこと、また逆に、腰高になって口元があらわに見えないようにしましょう。

1A RNさん 著莪の動きが綺麗です
1A YIさん さらりと綺麗にまとまっていました

1B KIさん、KYさん 著莪をきりっと効かせ、桜やゼンマイとの出合いも良かったと思います
1B MIEさん 著莪を自由に扱いながらもまとめあげた、意欲的な作品でした
1B SJさん 桜の花がやや多いとは思いますが、呼応する著莪、ゼンマイとのバランスが良く、爛漫とした春景色を感じました

1級脇

連翹はつる性の枝の動き、黄色の花色と、それぞれがひきたつように適宜整理して枝を仕立てることが必要です。
芍薬は花の座りをよく見て入れますが、二本使う場合は余り離れすぎて唐突にならないように気をつけましょう。
鳴子百合は構成の中で二枚あるいは三枚、足もとが離れて見えないようにします。
芍薬と鳴子百合の葉が重なって重たいようでしたら、整理しましょう。

KFさん 全体にまとまっていました

2級

色彩盛花様式本位においては主材の生け方が決まっています。
谷渡りの葉8枚は規定の寸法にし、傾斜型とし、七宝の規定の場所にいれます。主枝は基準寸法、副枝は主枝の4分の3、中間4枚は3分の2、小葉2枚は2分の1以下とします。中間の4枚の葉は3と6,4と5が向き合うようにいれます。中間のばら3本は谷渡りの一株の眺めを損なわないように、株の中心より左に入らないようにしましょう。小菊は蕾や花を整理して、客枝中間として配します。

ITさん 前方のばらが株の中に入り込んで見えますが、谷渡りは綺麗です

2級脇

一脇と同じ花材で盛花を生けて頂きました。
盛花として、より花材の整理が必要でした。枝が煩雑なままでは花型構成において、曖昧になります。芍薬の葉が間延びしているとしたら、外して添え直す一手も大事です。

MTさん 中間の芍薬が少し高くみえますが、全体に綺麗にまとまっています
YYさん 連翹の扱いが綺麗です

3級

雪柳の枝の煩雑さが気になりました。枝についた小枝を整理して、時には枝そのものについている芽を部分的に落として、雪柳の枝の線の美しさを見せながら構成しましょう。線の動きをみせる、白い花をみせる、といった変化をみせながらいけていくことも大切です。

MKさん 特にトルコ桔梗と鳴子百合の出合いが綺麗でした

4級

花奏をいけるにあたっては「交差美」と「立体」を意識することが大切です。
主枝、副枝、客枝、三つの役枝をもって交差美を作るにあたり、客枝を短くしすぎない、主枝を長くしすぎない、役枝を一点で交差させない(二本の役枝で交差を作り、その交差に重ならないように新たな交差を作る)ようにします。役枝三本が極端に差がつかないようにしましょう。下段の中間枝は、役枝の交差美を損なわないよう、余り重々しくならないよう、長さや分量に気をつけて下さい。
役枝の出の位置は大切ですので、最初に花留めを規定の位置に置くこと、そして生け終わった時には花留めが動いていないか確認するようにしましょう。

YTさん スプレーバラの黄色がやや強く感じますが、役枝の交差が綺麗に出来ていました。リアトリスの葉を少し整理しても良いかもしれません

准教授

リアトリス三本をいけるにあたって、開花した花色の部分が少しかみ合うようなバランスで中間枝の長さをとると、三本がまとまってみえると思います。
ばらに関しましては、中間にあげたばらが高すぎて唐突にならないように気をつけましょう。本勝手の場合、客枝のばらは一番右にいれて足元を締めます。
カメラアングルでしょうが、全体として客枝のばらが少し右に逃げているようにみえました。

師範科2期

三種の花材をいけるにあたって、
①二種+あしらい/主副中間を丹頂アリウム、客中間をトルコ桔梗、天門冬をあしらいとして扱う
②三種いけ/主副中間を丹頂アリウム、中間をトルコ桔梗、客中間を天門冬でとる
の二通りの生けかたが考えられます。
いずれにしましても、役枝の寸法角度のみならず、盛花としての役枝の出の位置づけに気をつけて、主枝副枝客枝の三つの役枝を持って面を構成することが大切です。

師範科1期

今回の丹頂アリウムは茎の曲りが余り大きくないだけに、線としての動きに気を付けて、バランスをとります。トルコ桔梗の蕾は、曖昧になるようであれば、整理します。丹頂アリウムには葉がないので、トルコ桔梗の葉で足元を整えます。

SWさん とても綺麗にはいっていました

本科、初等科

本科

初等科

クッカバラは葉柄から葉にかけて曲があるので、葉先が跳ね上がらないような葉を選ぶか、茎を少しためて葉先の角度がゆるやかになるようにしましょう。
葉の色が濃いので、葉裏をみせたり、短く使ったりと変化をみせていて良かったと思います。三色の色違いのアネモネも表情良く入っていました。スターチスは多く入れると重たく見えがちです。間合いをとって、少し高低差をつけると良いでしょう。

特別クラス

琳派調いけばなにおいては、誇張と省略をもって花材を絵画的に表現します。
五種の花材をもってどのような「絵」を描くのかを念頭に、まずは扇面画法、円画法どちらで描くのか画法を決め、花配りをします。
花材条件によって、左右の連携を連翹又は鳴子百合でとります。
琳派調いけばなにおいては、やはり「間」の美しさが求められます。
五種の花材ということで、やや窮屈にみえる作品もありました。いけあげた際に、花留めの位置づけを少し動かす、あるいは器を寄せたり離したりすることで、間合いに変化をつけますと、より完成度の高い作品になったように思います。

SMさん、SJさん いちはつの動きが素敵でした

番外編

生け替えの際、あるいはお稽古で使わなかった花材がある時には、器をかえたり、他の表現をしてみるのも、勉強になると思います。
最後まで、お花を大切に、楽しんでいけてみて下さい。


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